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口呼吸が歯並びに及ぼす影響とは

野村隆之

愛知県豊田市 NICO矯正歯科toyota
日本矯正歯科学会認定医 理事長 野村隆之

DOCTOR PROFILE

近年、口呼吸が及ぼす影響についてさまざま取り上げられています。

口呼吸は、歯並びだけでなく、いくつかの健康上の問題やリスクが伴います。

本日は、口呼吸がもたらす主な問題点をご紹介していきます。

1. 歯並びや顎の発育への影響

不正咬合のリスク: 口呼吸をしていると、舌の位置が下がり、歯や顎に適切な圧力がかかりません。その結果、上顎が狭くなったり、前歯が突出したりして、不正咬合(歯が正しく噛み合わない状態)を引き起こすことがあります。

顎の発育不全: 特に成長期の子どもにおいて、口呼吸は顎の発育に悪影響を与えることがあります。上顎が狭くなることで、顔の下半分の発育に偏りが生じ、口元が突き出たり、顔全体のバランスが崩れたりすることがあります。

2. 口腔内の乾燥

虫歯や歯周病のリスク増加: 口呼吸により口腔内が乾燥すると、唾液の分泌が減少し、唾液が持つ殺菌作用や食べかすを洗い流す効果が弱まります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

口臭: 口の乾燥により、口腔内の細菌が増えやすくなり、口臭が発生しやすくなります。

3. 呼吸器系への影響

上気道感染症のリスク増加: 鼻呼吸では、鼻がフィルターの役割を果たし、空気中のほこりや病原体を取り除く役割を担いますが、口呼吸ではこれらの機能が働かず、喉や肺に直接不純物が入りやすくなります。その結果、風邪やインフルエンザ、その他の上気道感染症にかかりやすくなります。

睡眠障害: 口呼吸は、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因となることがあります。特に、睡眠時無呼吸症候群は深刻な健康問題で、日中の眠気や集中力の低下、さらには心血管疾患のリスクを高める要因となります。

4. 発音や言語発達への影響

発音の不正確さ: 口呼吸により舌の位置が不安定になると、正確な発音が難しくなることがあります。特に、舌を使う音(例: 「s」や「z」の音)が不明瞭になることがあります。

言語発達の遅れ: 口呼吸が習慣化している子どもは、適切な発音や言語発達が遅れることがあるため、言語療法が必要になることもあります。

5. 全身の健康への影響

酸素供給の低下: 鼻呼吸では、空気が鼻腔を通過する際に温められ、湿度が保たれ、さらに一酸化窒素が生成されて血流が改善されますが、口呼吸ではこれらの機能が働かず、酸素供給が低下する可能性があります。

集中力や学習能力への影響: 睡眠の質が低下することで、日中の集中力や学習能力が低下することがあります。特に子どもでは、学校での成績や行動に影響を与える可能性があります。

6.口呼吸の改善方法

口呼吸の問題を解決するためには、まず原因を特定することが重要です。例えば、鼻詰まりやアレルギーが原因であれば、それらの治療が必要です。また、筋機能療法(MFT)や矯正治療を通じて、正しい呼吸方法を習得することも効果的です。

口呼吸は単なる習慣の問題にとどまらず、長期的にはさまざまな健康問題を引き起こす可能性があるため、早期に対処することが重要です。