外科矯正治療とは
外科矯正治療とは、上下の顎の骨のズレが大きく骨格的な問題による咬み合わせの不調和がある場合に、矯正治療と外科的な手術(顎離断手術)を併用して骨格性の問題を解決する方法を指します。
一般的な矯正歯科治療は自費での治療となりますが、顎離断手術を伴う矯正歯科治療では保険診療の対象となります。
また、これとは別に厚生労働大臣が定める61疾患についても保険診療の適応となります。
公益社団法人 日本矯正歯科学会
「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
https://www.jos.gr.jp/facility
外科矯正の対象年齢について
外科矯正治療は成長期の患者様へは行うことはできません。成長が完全に終了してから治療開始となります。
成人の方はいつからでも治療開始できます。特に治療に関する年齢制限などもありません。
外科矯正の治療の流れ
01初診相談
通常の矯正治療と同様に初診相談を受診していただきます。現在の歯ならび、顎の状態、外科矯正治療が適応かどうか、ご説明致します。
02精密検査
精密検査にてお口の中の様々な資料(レントゲン、写真撮影、お口の中のスキャン)を取らせていただきます。
03診断
検査データをもとに治療計画を策定し、ご説明致します。治療計画にご納得いただいた後に治療開始となります。
04口腔外科受診
手術を行う予定の病院、大学病院の口腔外科を受診していただきます。
05術前矯正治療
およそ1年から1年半ほど術前矯正治療を行います。
06外科手術
術前矯正治療終了後に口腔外科にて外科手術を受けていただきます。手術後はおよそ1週間程度の入院が必要となります。
07術後矯正治療
手術終了後は術後矯正治療をおよそ1年ほど行います。
08保定観察
矯正治療終了後は通常の矯正治療と同様に後戻り防止装置を2年ほど使用していただき、後戻りが起きないことを確認して治療完了となります。
外科矯正のメリット
外科矯正のメリットとして、まず骨格的な不調和を改善できるという点が挙げられます。仮に、骨格性の問題が大きい患者様を手術せずに治療する場合、歯の角度・傾きにおいてかなり無理をして治療せざるを得ません。
手術によって顎の骨自体を適正な位置へ移動させることができるということは大きなメリットになると考えられます。
次に費用面ですが、通常の矯正治療は全て自費で行われます。(保険外)
ところが顎離断手術を伴う外科矯正治療においては保険適応が認められています。口腔内の状況によって変わりますが、概ね40〜50万円ほどで矯正治療と外科手術を受けることができます。
外科矯正のリスク
外科矯正のリスクとしては、手術時のリスクが挙げられます。
手術後に顔などに麻痺や知覚鈍麻が出る可能性があります。また、手術直後はお顔が腫れます。(およそ1ヶ月程度で腫れは引いていきます)
矯正治療におけるリスクとしては一般的な矯正治療をおこなった際と同様に歯肉退縮(歯茎が下がる)、歯根吸収(歯の根が吸収して短くなっていく)、失活(歯の中にある神経が壊死してします)のリスクがあります。