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不正咬合とは?その原因から治療法まで徹底解説

野村隆之

愛知県豊田市 NICO矯正歯科toyota
日本矯正歯科学会認定医 理事長 野村隆之

DOCTOR PROFILE

不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯並びや噛み合わせが正常でない状態を指します。この状態が続くと、見た目だけでなく口腔内の健康にも様々な影響を及ぼします。今回のブログでは、不正咬合の原因、症状、治療方法、治療期間や費用について詳しく解説していきます。不正咬合について知識を深め、健康な口腔環境を維持するための参考にしてください。

1. 不正咬合の原因

不正咬合は遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって発生します。まず、遺伝的要因としては、親からの歯並びや顎の形などの遺伝が影響します。例えば、顎が小さい家庭では歯がきれいに並ぶスペースが不足し、歯が重なり合って不正咬合が起こりやすくなります。また、親兄弟が不正咬合だとその傾向を受け継ぐ可能性があります。

環境的要因も大きな影響を及ぼします。特に幼少期の習慣が不正咬合の原因となることが多いです。長期間にわたる指しゃぶりや舌を吸う癖、口呼吸などが代表的です。これらの習慣は成長期の顎や歯に不均等な力をかけ、歯並びを乱す原因となります。さらに、虫歯やけがで早期に乳歯を失った場合も、不正咬合を引き起こすことが多いです。

食生活の影響も無視できません。硬い食べ物をあまり食べない現代の食生活は、顎の発達不良を招きやすくなります。これにより、顎が小さくなり歯がきれいに並ぶスペースが不足すると、歯が乱れて生えることがあります。

逆に、異常な成長や発達により顎の骨が予想以上に大きく、上顎と下顎のバランスが崩れることもあります。これにより、開咬や反対咬合といった問題が生じることがあります。顎の成長と歯の発育のバランスが取れていないことが一因となります。

2. 不正咬合の種類と症状

不正咬合にはいくつかの種類があります。代表的なものとして「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」、「反対咬合(はんたいこうごう)」、「開咬(かいこう)」、そして「交叉咬合(こうさこうごう)」などが挙げられます。それぞれに特徴的な見た目と症状がありますが、共通して言えるのは噛み合わせの悪さが日常生活に及ぼす影響です。

上顎前突は、俗にいう「出っ歯」のことです。この状態だと、上下の歯がきちんと噛み合わず、食事の際に食べ物を上手に噛み砕くことが難しくなります。さらに、見た目の問題から自信を喪失しやすいこともあります。

反対咬合は、逆に下顎が前に出ている状態、ますます噛み合わせの問題が深刻になります。この状態は「受け口」として知られ、見た目だけでなく、発音や噛み合わせの影響が大きいです。特に言葉を発する際に違和感が生じることが多いです。

開咬は、奥歯を噛んでも前歯が閉じない状態を指します。この歯列不正は、不適切な舌の位置や口呼吸などが原因となり、食事や会話に大きな影響を与えます。特に前歯での食事が難しくなるため、特定の食材が食べられない場合があります。

交叉咬合は、左右どちらかの噛み合わせがズレている状態です。この状態だと、顎に違和感や痛みを感じることが多く、放置すると顎関節症を引き起こすリスクがあります。また、顔の左右非対称や顎の発育不良などの問題も生じやすいです。

3. 不正咬合の治療方法

不正咬合の治療方法は、個々の症例に応じて異なるため、まず歯科医の診断が必要です。一般的には矯正治療が主な方法となります。矯正治療には、固定式のブラケットを使った「ブラケット矯正」、取り外し可能な「マウスピース矯正(インビザライン)」、さらには特殊な装置を使った「機能的矯正」などがあります。

ブラケット矯正は、金属製やセラミック製のブラケットを歯の表面に取り付け、ワイヤーで歯を動かします。この方法は歯を効果的に動かすことができ、広く用いられています。しかし、見た目の問題や装置の清掃が難しいというデメリットもあります。治療期間は2~3年が一般的ですが、症例により前後します。

マウスピース矯正は、取り外しが可能で透明な装置を使います。そのため、見た目に影響が少なく、装置の清掃がしやすいのが特徴です。しかし、患者さんの協力が不可欠で、装置をしっかりと装着する必要があります。治療期間は2~3年が目安となります。

特殊な装置を用いた機能的矯正は、特に成長期の子供に適しています。この方法では、顎の成長を誘導し、自然な形で不正咬合を改善します。治療期間は個々の成長速度により変わりますが、1年から数年にわたることが多いです。

場合によっては外科手術が必要となるケースもあります。特に、成人で顎の大きなズレがある場合は、顎の位置を正すための手術が行われます。手術後に矯正治療を併用することも多いです。手術のリスクや入院期間、費用など、詳細は担当医としっかり相談することが重要です。

4. 不正咬合治療の期間と料金

不正咬合の治療期間は個々の症例により異なりますが、一般的には2年から3年程度が目安です。特に複雑な症例では、治療期間が4年以上に及ぶこともあります。治療期間が長くなるほど、経済的な負担も増えるため、計画的に進めることが大切です。

治療費用に関しては、選択する治療方法や使用する装置によって大きく異なります。ブラケット矯正の場合、一般的な費用は50万~100万円程度ですが、見た目に配慮したセラミック製ブラケットなどを使用すると費用が上がります。

マウスピース矯正は少し高めになります。通常は80万~150万円が相場となります。この方法は、装置が目立たず取り外し可能なため人気がありますが、費用が高めなのがネックです。

機能的矯正は比較的費用が抑えられる一方で、成長期の子供に限定されます。費用は20万~50万円程度が一般的です。ただし、長期間の監視と調整が必要なため、追加費用が発生することもあります。

外科手術が必要な場合は、さらなる費用がかかります。手術費用は保険適用となる場合が多いですが、自己負担額もかなり大きくなることがあるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

5.不正咬合治療のメリットとデメリット

不正咬合治療の最大のメリットは、健康的な噛み合わせと美しい歯並びを手に入れることができる点です。これにより、食事がしやすくなり、発音も改善されます。また、見た目の変化は自信を与え、生活全般にポジティブな影響を与えます。

しかし、デメリットも存在します。まず、治療期間が長く、数年間に及ぶことが一般的です。その間、定期的な通院が必要であり、生活スケジュールに影響を与えることがあります。また、装置の使用による不快感や痛みも避けられません。

経済的な負担も無視できないポイントです。特に保険外治療の場合、高額な費用がかかるため、計画的な資金準備が必要です。また、治療中に追加の費用が発生することもあるため、常に予備費を用意しておくと安心です。

心理的なストレスも考慮する必要があります。特に見た目や会話に不安を抱えることが多い患者さんは、精神的な負担が大きくなりがちです。このような場合、カウンセリングや心理サポートが役立つことがあります。

最後に、治療後のメンテナンスも重要です。せっかく治療しても、メンテナンスを怠ると再び歯並びが乱れることがあります。定期的な歯科検診と適切なメンテナンスを続けることで、治療結果を長期間維持することができます。

まとめ

不正咬合は見た目だけでなく、健康や生活の質にも大きな影響を与える問題です。その原因や症状を知り、適切な治療を受けることで、健康的な口腔環境を手に入れることができます。治療法や期間、費用について詳しく理解し、自分に合った最適な治療を選択することが大切です。不正咬合でお悩みの方は、ぜひ専門の歯科医師に相談し、早期の対策を講じてください。

不正咬合に関する情報を詳しくお伝えしましたが、ご質問やご相談があればいつでもお問い合わせください。あなたの笑顔と健康を支えるお手伝いをいたします。