矯正治療では、歯並びや噛み合わせを改善するために歯や顎の位置が変わることがありますが、その結果、人中(鼻と上唇の間の部分)にも変化が生じることがあります。特に、上顎を後退させたり、下顎を前方に引き出したりする治療を行った場合、顔全体のバランスに影響が出ることがあり、人中が目立つかどうかに変化が見られることもあります。
矯正治療が人中に与える影響
1. 上顎の位置と人中の長さ
上顎が前方に突出していた場合、矯正治療によって後方に移動させることで、上唇や人中の位置が少し変わることがあります。これにより、見た目で人中が短くなったり、長くなったように感じることがあります。
上顎を後退させた場合、人中がやや長く見えることがあります。一方、上顎が後退していた場合に前方に出す治療をすると、人中が短くなるように見えることもあります。
2. 下顎の動きと顔全体のバランス
受け口(下顎前突)や出っ歯などの矯正治療で、下顎の位置が変わると、顔全体のバランスが改善され、それに伴って人中の印象も変わることがあります。特に下顎を後退させた場合、人中が目立ちにくくなることがあります。
3. 歯並びによる唇のサポート
矯正治療で歯並びが整うと、唇の形や張りも変わる可能性があります。上唇が以前よりも後退したり、前に出たりすると、相対的に人中の印象も変化することがあります。
4. 横顔の変化
矯正治療で顎や歯列の位置が変わると、横顔のプロファイル(側面から見た輪郭)が変わり、人中や唇の位置、顔のバランスに影響を与えることがあります。特に、側面から見たときの人中の長さや形状が変わったように見える場合があります。
5.外科矯正治療と人中の変化
外科的矯正治療(骨切り手術など)を伴う場合、顎や顔の骨の形状そのものを変えるため、より顕著な変化が人中や顔全体に現れることがあります。例えば、顎の骨を前方や後方に移動させることで、人中が長く見えたり、短く見えたりすることがあります。
6.注意点
人中の変化には個人差がある:矯正治療による顔や人中の変化は、治療内容や患者のもともとの顔の構造によって異なります。一部の患者は大きな変化を感じる一方で、ほとんど変化がないと感じる人もいます。
期待と現実のギャップに注意:見た目の変化を目的に矯正治療を行う場合、結果が期待通りでないこともあるため、事前に矯正歯科医と十分に相談することが重要です。
矯正治療を検討する際は、機能的な改善だけでなく、顔の審美的な変化についても相談することが望ましいです。特に大きな顔貌の変化が予想される場合は、治療前にシミュレーションや写真を使って治療後の変化についてイメージを共有することが重要です。